「無駄に好奇心旺盛なのも、考えもんだな」
イズラは「しゃーねぇな」と苦笑すると、私を見る。
「…言っとくが、気持ちのいいもんじゃねぇぞ」
その藍色の瞳をしっかりと捉えながら、私は頷いた。
実際に聞く話は、思っていたよりも…酷かった。
海上では、見つけた海賊船に片っ端から戦闘を仕掛け、金目の物は奪い、逆らった者は斬り伏せる。
地上では、気にくわない者を縛り上げ、時には何の躊躇いもなく剣を振るう。
売れそうな人材は、どんな手を使ってでも捕まえ、闇市場に出品し、儲ける。
私は、何度も何度も込み上げてくる嗚咽を必死に飲み込み、拳を強く握った。
でも、イズラの話を遮ろうとはしなかった。
自分でも、何でなのかはわからない。
もしかしたら…過去と向き合いたかったのかもしれない。
―――もう、逃げたくないと。