何時間過ぎたのか、それとも何日が過ぎたのかわからない。


この牢屋みたいな部屋には、窓がないから、今が朝なのか夜なのかさえもわからなかった。



食事なんて、捕まったそのすぐあとに、パンを一人一つ貰っただけで。


それだけでお腹が満たされるわけないし、喉なんてもう渇ききってる。



それでも、私はひとりじゃない。



ゼンとニーナがそばにいるから、どんな過酷な状況でも大丈夫だった。


体の自由は縛られてるけど、口は自由だから、ずっと話している。


過去に行った国や村の話を、ゼンとニーナが面白く、可笑しく話してくれて。


…辛いなんて、思う暇もなかった。



けど、船の振動が止まり、開けられた扉から光が差し込んだときは、少しだけ安心した。


「…よお。着いたぜ」


開いた扉の奥で、イズラがにやりと笑った。


小さな鍵を指先で振り回しながら、私たちに近寄って来る。