「俺、ララさんにありがとうって言いたいんだ」


リジェは拳を握り、続けた。


「捜そう、あの船を」


「…あったりまえだろ!」


俺は小さく笑うと、リジェの肩を小突く。


そんな俺たちの様子を見て、誰かが訊ねた。


「でも、相手はどこへ向かってるんだ?」


確かに、行き先がわからなかったらどうしようもない。


…けど。


「大丈夫だ。ゼンの勘が正しかったら、あいつらはあそこに行く」


ニーナがララちゃんを追って飛び出し、俺たちが見つかるまでの間。


そこで、ゼンは俺に言った。



―――この恰好なら、男だってバレないかもしれない。


だから、俺も捕まる。


俺たちは、闇市場に連れて行かれる可能性が高い。


なるべく時間を稼ぐから、あとは頼んだ―――



…ったく、あとは頼んだ、って。


よっぽど信頼されてんのな、俺。



まぁ、ゼンがいるなら、あっちも安心だ。