・レキside・
「大丈夫か?お前ら」
切れた口元から流れ出る血を拭い、俺はリジェたちのもとへ駆け寄った。
"ラー"の海賊船は、もうゼンたちを乗せて出航し、その姿は次第に小さくなっていった。
まずは、リジェのロープを短剣で切り裂いた。
ロープが床に落ちても動かないリジェに、俺は眉をひそめた。
「…おい、リジェ?」
顔を覗き込むと、リジェは真っ青な表情を俺に向けた。
「…レキ、どうしよう。俺…」
「お前のせいじゃねぇって」
リジェの肩をとん、と叩き、俺は続ける。
「ララちゃんが出てかなきゃ、お前は殺されてた。今の状況が、最善の策だったんだ」
…そう思わなきゃ、やってられない。
たくさんの血が流れずにすんだ。
今は…ただそれだけで十分だ。
「リジェ、他のやつらのロープ解くの手伝え。そのあとに、作戦立てんぞ」
「…ああ、わかった」


