紺碧の地図


「あんたは、間違ってないわよ」


大きく見開かれた双眸をしっかりと捉えながら、あたしは続けた。


「…ねぇ?ゼン」


ゼンが、ゆっくりと顔を上げる。


ララの強張った表情を見て、やっぱり、と思った。



…ララは、ゼンが怒ってると思ってたのよね?


確かに、怒ってるかもしれないけど…


「…ああ。間違ってない」


ゼンはきっと、自分自身に対して怒ってる。


「ほ…本当に?」


ゼンの言葉に少し安心したのか、ララの表情が和らいだ。


ゼンはララを横目で見やり、自らの自由を奪った、手元の鎖へと視線を落とした。


「…俺がもう少し早く判断していれば、こうはならなかったかもしれない」


…ほら、ね。


ゼンはいつもこうやって、自分を責めるの。



強く強く、唇を噛みしめて。


見てるこっちが苦しくなるくらい、悲しげな表情をする。



それは、いつまでたっても変わらない。