・ニーナside・
「とりあえずお前らは、ここにいろ」
"ラー"の海賊船に乗せられたあたしたちは、船の奥深く、小さな部屋へとつれられた。
…部屋っていうか、牢屋、かな。
暗く、じめじめとした室内は、入っただけであたしを不快にさせた。
壁につながれた鎖を、あたしたちはそれぞれ手に掛けられる。
ずっしりとした鉄の塊が、手首に重くのしかかってきた。
「目的地に着いたらまた来る。それまで大人しくしてろよ?」
敵船の船長、イズラは、うざったい笑みを浮かべると、ヒラヒラと片手を振って姿を消した。
ガチャン、と鍵のかかった音が、薄暗い部屋に響いた。
「………」
手足をつながれただけで、口は自由だった。
けどあたしたちは誰一人として、口を開こうとはしない。
あたしは、薄暗さに慣れ始めた目を動かし、ララを見た。


