「…んだよ、まだいんじゃん」
嬉しそうに笑ったイズラを一瞥したあと、私はニーナに駆け寄った。
「…ニーナ!何でっ…」
「…あたしも一緒よ、ララ。ララだけを犠牲にするなんて、出来ないわ」
真っ直ぐに私を見据える、ニーナの力強い眼差し。
それは、いつものニーナのようで、私は涙が出そうになった。
「おい、お前。まだ隠れてないか、見てこい」
イズラに命令された船員は、素早く私たちが隠れていた場所へと動いた。
あそこには、ゼンとレキがいる。
どうしよう…!!
私の手を、ニーナがぎゅっと握ってくれた。
それと同時に、
「船長、あと二人いました!」
と、興奮気味な声が届く。
捜しに行った船員に引っ張られ、出てきたのは…レキとゼン。
「てめっ、放せコラ!」
暴れるレキと、無表情のゼンを見たイズラが、眉をひそめた。
「あいつは…男か?」


