…どうすればいいのか、わからない。
いつまでたっても、無力な自分が嫌になる。
レキみたいに、体に任せて飛び出すのが正解なのか。
ゼンみたいに、冷静に判断するのが正解なのか。
わからない。
わからないけど…
「お前の変わり果てた姿見れば、女もさすがに来るだろ」
私は私の、正しいと思った道を進みたい。
「―――待って!」
目の前に広がるのは、縛り付けられた仲間たちに、それを取り囲むようにして立っている"ラー"。
うち一人が、リジェに向けていた視線を、ゆっくりと私に向けた。
…想像してたよりも、若かった。
二十代半ばだと思う。
茶色の無造作ヘアに、深い藍色の瞳。
相手は"ラー"なのに、その瞳を…綺麗だと思ってしまった。
「…何だ、やっぱいるじゃん。女」
にやりと笑うその顔を見て、悪寒が走る。
怖がっていることを悟られないように、キッと相手を見据えた。


