再び私たちの耳に届いた、リジェの声。
「…もしっ、いたとしても!他の海賊船がある状況で、来るわけないだろ!!」
リジェの必死の抵抗に、胸が苦しくなった。
ゼンも同じ気持ちなのか、更に眉間にしわが刻まれる。
「んー、それもそーだなぁ…」
相手のため息が聞こえたかと思うと、「じゃあ」とすぐに次の言葉を繋げた。
「見せしめに、お前殺っとくか」
―――瞬間、空気が凍った。
その低く、冷徹な声に、私は体を震わせた。
「や…やめろ!」
「リジェ、逃げろ!!」
「ひゅ~♪」
「船長、男前~!!」
みんなの焦った声が次々に上がり、それを打ち消すように、相手の海賊がその場を囃し立てる。
「―――っ!」
「レキ!」
今にも飛び出していきそうなレキの腕を、ゼンは掴んで引き止めた。
そんなゼンを見るレキの表情は、何で、と言いたげに歪んでいた。


