ティナの門を出た私たちは、来たときと同じ小舟に乗り込んだ。


私は振り返り、遠ざかっていくティナを見つめた。



―――さよなら。



ロシュ、レイル姫。


どうか元気で…



心の中で別れを告げたとき、私の足元にパサリと何かが落ちた。


「あ―――っ、解・放・感!!」


ぐっと伸びをするレキの頭は、いつもの髪型に戻っていて。


女装の為のウィッグが、私の足元に転がっていた。


「ゼン、お前も取れば?」


にこにこと笑顔で話しかけるレキに、ゼンは面倒くさそうに答えた。


「…いや、いい。恰好が恰好だし」


そう。


ウィッグを取っても、恰好は女の子の服装。



でも、レキはそんなこと気にしてないみたいで、「気分が楽になるぜー?」と鼻歌を歌い始めた。


…レキ、よっぽど女装が嫌だったんだね。



そこで、私は横目でニーナを捉えた。