「…ララちゃん、俺何かした?」


眉間にしわを寄せて振り返ったレキに、私は苦笑した。


「んー…。わかんないや」


「だよなー…」


首を傾げながら、レキもゼンに続く。


三人の後ろ姿を、私はじっと見つめた。



…気のせいなんかじゃ、ないよね?


ニーナ…一瞬だけど、悲しそうな顔をしたんだ。



いつも元気なニーナからは、想像出来ないような…悲しい、悲しい顔。


「ニーナ…?」


不安からか、私は無意識にニーナの名前を呟いた。


当然、ニーナには届かなかったみたいで。


代わりに、レキが振り返った。


「ララちゃん?どした、行っちゃうぜ?」


「…あ、うん!」


開いた距離を埋めようと、私は慌てて走り出した。




―――私、全然わかってなかったの。



埋まっていると思っていた距離は、実は遠くかけ離れていたんだって。





みんなを苦しめる、悪夢のような過去があったなんて…