紺碧の地図


レイル姫の両手が、そっとロシュの手をとる。


ロシュは、これ以上赤くならないんじゃないかってぐらい真っ赤で。


私とゼンは、密かに視線を交わして笑った。


「…いろいろ、ロシュさんに逢う方法を考えたんです」


「―――え…」


「男性禁止の法律を変えることも、この国を…抜け出すことも」


レイル姫は苦笑して、「勇気がなくて、出来なかったんですけど」と付け加えた。


ロシュはごくりと喉を鳴らすと、ゆっくりと口を開いた。


「…レイル姫は…男嫌いなんですよね…?」


レイル姫の、ロシュを握る華奢な手に、力がこもった。


「…私の母が、父が原因で男嫌いで、私も男性は怖いものだと思っていました」


レイル姫はロシュを見つめ、「でも、」と呟いて続けた。


「ロシュさんに逢って…そんなことはない、って思えたんです」


「…レイル姫」


よかったね、ロシュ。


レイル姫は男嫌いじゃなかった。