でも…でもね。
決めたからには、最後までやらないと。
私は深呼吸をすると、目の前の扉を軽く叩いた。
「レイル姫様。あの…相談が…」
ゼンが私に言ったこと。
それは、『メイドのフリをする』こと。
上手くいけば、レイル姫が扉を開けてくれる。
その扉が開いた瞬間、私たちが部屋になだれ込もうっていう作戦。
そんな上手くいくわけがあるのかな、と不安に思い始めた頃、扉が…ゆっくりと開いた。
「私に相談…?誰―――…」
瞬間、素早く行動に移したのは、ゼン。
小さな扉の隙間から部屋に入り、レイル姫の口を塞ぐ。
次いで、私とロシュが慌てて部屋に入り、扉を閉め、鍵を掛けた。
何とか成功したことに安堵のため息をつくと、私はレイル姫を見た。
ロシュが一目惚れしたのが、納得いくぐらい…美人。
けど今は、その表情には驚愕と戸惑いが浮かべられている。


