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「…ロシュ、そっちは?」
「…平気。誰もいねぇ」
「…ゼン、こっちも大丈夫だよ」
「…ん」
声をひそめた私たちが今いるのは、お城の中。
無事、お城に侵入することが成功したの。
城壁を乗り越えるのは難しい、と判断したゼンは、大胆な考えを提案した。
それは、城門の目の前でニーナが突然苦しむフリをし、そっちに気をとられた門番の後ろをすり抜け、堂々と正面から入るというもの。
この危険な案に、ニーナはすんなり承諾した。
そしていざ実行してみたら…驚くほど上手くいって。
「…この国、こんなんで平気なのか?」とゼンが呟いた言葉に、ロシュはただ苦笑した。
で、現在は廊下の隅に私たちはいる。
さすがにお城に侵入してくる輩はいないと安心しきっているのか、衛兵の姿が全く見当たらない。
…本当に大丈夫なのかな、この国。
私たちが悪者だったら、かなり危ない。


