「わぁ…おっきーい」


レイル姫がいるお城を見上げ、私は思わず口を開いた。


それはもう、凄く立派なお城で。


迷子になりそう、とかどうでもいいことを考えてしまった。



堂々と、正面から侵入なんて出来るわけもなく。


お城の裏側に、私たちはいた。


「秘密の入口とかねーの?」


レキがきょろきょろと辺りを見渡してそう言うと、ロシュは「ない」ときっぱり答えた。


「実は、一回だけ忍び込もうとしたことがあるんだ。でも、無理だった」


肩を落とすロシュを見て、私はうーん、と唸った。


勢いであんなこと言っちゃったけど、やっぱり無理なのかな…。



「…何、諦めんの」



私の隣で、ゼンがそう呟く。


振り向くと、ゼンはお城を真っ直ぐに見据えていた。


「諦め…ない、よ」


無理とか、言っちゃダメだ。



やってみなきゃわかんないって、前に自分で言ったじゃない。