「帰り二人じゃん」
「あいつらに捕まってたら時間ねぇじゃん」
「そこまで大事な話ねぇじゃん」
「いや、あるし」
ビシッ!とつっこみの体制であたしの前に手を出す。
「明日から、なんだけど?」
「な、に、が?」
手はあたしの顔のすぐ前にある。つっこみの体制は未だ変わんなくて、喋りづらい感がある。
「旅行だろっ!」
「いや、知ってるし」
じゃあ聞くなよって話だけど。
『ああ、旅行ね』なんてサラリと言えちゃうほど慣れてもないし、むしろ初体験だし。
「明日10時!美香ん家に向かえいく!ちゃんと準備しとけよ、電車だから遅れんな。後帰りは日曜の7時くらいになっから!暗いのとかは俺が送るから心配ねぇし!後。ちゃんとあったかい服着てくること!」
なんか、一気に捲くし立てられた。

