「…‥上出来‥」

吐息混じりの声と、唇の間から一瞬覗いた赤い舌に、胸がきゅうっと絞まった気がした


「今度は口、ちょっと開けてて…‥ハァ‥」

そんな言葉を耳元で囁かれて、擽ったさに背中がゾクゾクする



また降ってきたキスに、また思考がふわふわする

「…口‥」

一瞬離れて、小さく呟かれてから、思い出したように口を開いた



「…!?‥…んゃ‥」

「…‥ん…だめ、逃げんな」

「……んッ‥ふぅ…」



いきなりヌメっとした熱いなにかが口の中に入ってきて、上あご辺りを撫でた瞬間、ピリッとした感覚が体を走った

それが怖くて、彼の胸の前で大人しかった腕に力を入れて離れようと少しもがくと、再び後頭部と腰に巻き付く手と腕に力が入った




ふわふわとした感覚がより強くなって、頭が痺れる


口内で動く舌についていけなくて、されるがままになってしばらくして、唇が離れていった




「…‥エッロ…そんな気持ちかった?」

「ふぁ…んッ‥…」

「でも、今日はこれでおしまい。掃除時間、終わりだかんね。……また明日、この時間にここにおいで?」


そう言って、あたしを残してその人は校舎の中に入って行ってしまった





あたしは異常な心臓の早さとじんわりとした熱にしばらく動けなかった