3月第1週目が
はじまった。



アオに残されたあとわずかな時間。
たったの4週間。
しかしそれは彼自身が決めた期間で、
誰かがそうしろ、と言ったわけではない。
知らない世界を見る事を拒んだ
まだ幼くて、臆病な彼が決めた、
最初で最後の大きな決意だ。



死ぬ方法を考えはじめたアオは、
1日学校を休んだ。
と、いってももう受験も終わった
3年生へ向けた授業なんて、
大した内容も無かった。
みんな友達同士、また先生との交流を
残り少ない中学校生活を惜しむかのように
通っているのだった。



クラスの中でもまあ地味な部類のアオは
そんな空気に馴染めずにいた。
教室の隅でヘッドホンをして本を読む。
たまに折り紙を折ったりしていると
女子から「すごい、」なんて
言われたりするくらいだ。
手先は器用だったから、折り紙は得意分野だった。
あとは少し交流のある男子が
今日は晴れてるなあ、
なんて声をかけてくるくらいだった。