落ち着かない。


美和が分娩室に入って1時間。


まだ赤ちゃんの声はしない。


さっき親父が買ってきてくれたコーヒー


缶が潰れそうなほど、強く握りしめた。


「はぁ~」


お袋が、分娩室の前の長椅子に座ってため息をついた。


分娩室の前に立つ。


「美和、頑張れ」


頑張れしか、声かけられない。


俺の声、聞こえてるか?


俺も、お袋も、親父も。


みんな待ってるから。


美和が無事に赤ちゃん産んでくれるの。


お前が、元気に戻ってきてくれるの。