「夫婦の時間かしら?」


小林さんは笑いながらそう言って、パタンとドアを閉めた。


だからやだって言ったのに。


ここに来ると、必ず龍矢に足止めされる。


「あの、話ってなんでしょうか?」


「いや、特にはないんだけど」


うわっ、ムカつく。


資料に目を通しながら、私を見ないでそう言った。


「じゃあ、帰りますね」


そう言って、ドアに手をかけた。


「怒るなよ」


「怒ってません。早く帰りたいだけです」


「そんなに俺と居るのが嫌なわけ?」


「そんなこと一言も・・・」


後ろを振り返ると、龍矢がにやって笑ってた。