ポカンと黙って聞いていた奈緒は冷静さを超えて怒りに変わる。
なぜ、あなたにそんなこと言われないといけないわけ?
そう思った。
「あんた朝倉グループの娘なんだって?他の奴はあんたの身分に気にしていてその態度に触れなかったけど俺は言うよ。
…あんたさぁ。親から礼儀を教わらなかった?礼法とか家で習わなかったわけ?
あんたは楽しくないかもしんないけど、周りの奴らは楽しい気持ちでここに居るんだよ。でもそんな態度で明らかに帰りたい、みたいな顔でここに居られても俺達だって気分悪いんだよ」
無意識にひざの上にある拳に力が入った。
唇を噛みながらその男を睨んだ。
「それとも何?あまりに大事にされすぎて何も教えてもらえなかった?」
クスッと笑って見下ろすかのように言う男を見て思った。
…やっぱり男なんて嫌い。大嫌い
なぜあなたにそこまで言われないといけないの?
こんな風に誰かに見下されたのは奈緒は初めてだった。

