君とはじめて。〜契約恋愛〜



「もう時間だ、じゃぁ、後は仲良く二人で!」

すっきりした顔で去っていく父と戸高会長をよそに奈緒は突然の言葉にいまだに動揺を隠せずにいた。


…結婚?仲良く?
全然意味が分からない…

………どうして?…なんで今?

っていうかなんでこの男!??

絶対会うはずなんてないと思っていた。

一生会いたくないと誓ったはずなのに…


なんでいきなりこんな話になるの…―?



「ねえ、聞いてた?」


隣から聞こえる低くて太い声。

間違いなくあの男。


そんな問いかけにも奈緒はフイっと聞かなかったふりをして会場へ戻ろうとした。


「今度は無視ですか?お嬢様」