君とはじめて。〜契約恋愛〜


「はっはっは。そんな関係になってくれたら私もうれしいんだが…」


そんな関係…?

……――え?


「奈緒紹介したい人はこの人なんだ。戸高会長の息子、椎也くんだ」

―――なぜ、戸高会長がいる時点で気づかなかったのだろう。 

まさか…彼が戸高グループの息子だったなんて、想像すらつかなかったからだ。



「こんにちは、奈緒さん。…いや、久しぶり…かな?」


―――――…!!

ひょぃっと突然現れた男に目を大きく開いた。

………この人!あのときの!


偶然か必然だったのか。まさかの出来事に動揺を隠せないのは当たり前だった。
目の前にいる奈緒に挨拶をしてきたその男は、2週間前の合コンで散々見下されたあの男…。

まさか、あの合コンに戸高企業の息子がいたなんて…―。

それが…あの男…?



動揺を隠せないのも無理はない。まさか、また会うなんて…

奈緒は引きつった顔にならないよう我慢するように下唇をかんだ。