寝てるのか。


顔にかかった髪を、そっとよけてやった。


「んー」


春菜がゆっくり目を覚ました。


「ごめんな。起こして」


「うんん。大丈夫」


「春菜の点滴姿、久しぶり」


「私も。何回もやってるのに、慣れないの。点滴も、注射も」


「そんなん慣れる人なんていないって」


「そうかな?あのね、ひろ君」


「なに?」


「怜香先生が、薬出してくれたの。もらってきてくれる?そうすれば、早く帰れると思うし」


「一人で平気か?」


「うん」


でも、そう言った春菜の目はどことなく不安そうだった。