こんなんで、越えられる訳がない……


『レオの、人間不審なその目がいいンだ。お前にオレの後を引き継いでもらえたらどんなにいいだろ』


ごく最近の出会いみたいに、鮮明な色を放つ思い出は、何年経っても色褪せず胸を燻る。


コンクリ橋の先に差し掛かった時、燻る思いが一気に燃え上がっていく気がして足を止めた。


(いつの間にか着いちまった)


胸ポケットから出したタバコに火を着けて手向け、こうして向かいあってみると、あの人がなぜあんな言葉を遺したか、解った気がする。


もう追えないあの背中。

あの人は俺の父以上だったのに、伝えてもいない。



俺は……息子の代わりになれてたんだろうか。


ポケットの中から出したデジカメで、シャッターを押す―――




「プロとアマの違いはどんだけ撮ったかだ、か」

似た朝焼けの下で俺はすーっと何かが冷め切っていくのを感じていた。