兄貴の想い


ある日、ヒデと私は畑で遊んでいた。


父と母が趣味でやっていた土いじり。

家庭農園と言ったら大袈裟かもしれないくらいの小さな畑だった。


父と母の影響で私たちは畑で遊ぶことが多かった。


その日はクワやカマを持って2人で畑の手入れをしていたんだ。


『ミサ、気をつけてゆっくりやるんだぞ!』

『うん。大丈夫だよ。』

と、言った瞬間だった。

『ザクッ!!』


やってしまった…。


私の左手の人差し指から大量の血がながれた。


『ギャー!』


突然大泣きした私に驚いてヒデが駆け寄ってきた。


ヒデは血まみれの手を見て一瞬固まった。


そして、何も言わずに私を抱え、家まで猛ダッシュで走っていった。


運悪く、その日は父も母も家にはいなかった。


さすがのヒデもとても困っている様子だ。