文学乙女

けど、いつまでも言えないままじゃいられない……。




宣ちゃん、あの時あたしに一生懸命気持ち伝えてたもん。





あたしだって、自分の気持ち伝えなきゃ!





「あたしも……好き……」





「?」





周りの騒ぎ声で聞き取れなかったせいか、宣ちゃんは首をかしげる。





その騒ぎ声に負けないような勢いで、あたしは遂にー。





「宣ちゃんのこと………大好きですっっ!!」







単純で、勢いがありすぎて、突発過ぎる言葉に、宣ちゃんは口を開いたまま唖然としていた。







あたしも何がなんだかわからず、釣られて唖然とした。







「……あっ!!」









あたしは、口を押さえた。





そして、耳まで真っ赤になって、大慌てで訂正する。





「ごめんっっ!!あたし、バカ言っちゃった」






更に慌てながら、あたしは咄嗟に立ち上がる。






「あたし……さっきから、おかしくなってるみたい……。ちょっと頭冷やして来る」






あたしは身を翻して、会場へ向かおうとした。その矢先、下駄履きだったことを忘れてたため、足を踏み外してしまい、コケそうになった時ー。








転倒寸前のところで、宣ちゃんがキャッチしてくれた。









あたしは、宣ちゃんにキャッチされたまま、唖然呆然としていた。






っていうか、男の人に身体を受け止められたことに、ドキッとした。






率直に言うと、人生で初(?)の体験だった。







宣ちゃんの匂いが、鼻先に揺らいだ。






「………大丈夫?」







宣ちゃんの声で、あたしは我に返る。










あたしはふと顔を上げる。








宣ちゃんの顔が、至近距離にあった。






しかも腕を掴んだままで。








自分の手を見るなり、あたしはハッと我に返る。







そして、咄嗟に宣ちゃんから離れた。








「やだっ!!……あたしったら」








若干乱れた前髪を手ぐしで整えながら、あたしはちょっとうつむいた。










せっかく宣ちゃんが受け止めてくれたのに、ありがとうって言わなきゃと思っても、いつもみたくストレートに言葉が出ない。







さっきのこともあったし、もしかしたら気を悪くしたかも……。







あたしの頭の中は、マイナス思考でぐるぐる回っていた。








もうおしまいだと絶望的になっていた時-。






宣ちゃんの手があたしの背中に触れてきた。







その直後、強引に寄せられ、ぎゅーっと抱きしめられた。







あたしは何がなんだか分からず、身を任せっぱなしのまま、何も考えられなかった。