文学乙女

宣ちゃんの姿を見るなり、あたしは安堵の笑みを浮かべる。





「よかった。連絡取れなかったから、どうしようかと思った」





「ごめん…。ケータイの充電、途中で切れたから」





宣ちゃんは苦笑しながら、隣に腰を下ろした。





「はぐれた直後、電話しようとしたんだけど、ケータイの充電切れたんだ」





「えーっ!?」





あたしはすっとんきょうに叫ぶ。





「仕方ないから、充電復活するまで探し歩いたんだけど、人混みがすごくて、まともに探せなかったし」





「そう…」





「今、ちょっとだけ充電復活したから、電話かけようとしたんだけど…。寝てたしょ?」





「え?」





「歩道でうずくまってたから」





「違うよ。ただ歩き疲れて座ってただけ」





「そう?−なんか、寝てたっぽかったけど」





「寝てないから」





慌てて言い訳しても、半分寝てたことは、既にバレバレだった。





分かっていながらも、宣ちゃんは何も言わず、そうなんだとうなずく。





「ごめん…。あたしが立ち止まったせいで」





あたしは申し訳なさそうに、宣ちゃんに謝る。





「謝ることないよ。僕が早く歩いてたから…」





宣ちゃんは苦笑しながら首を横に振る。