文学乙女

何かを言いたそうな三枝さんに、あたしは首をかしげる。





緊張感を振り切るかのように、三枝さんが口を開く。




「図書館で時々見かけた時、読書に熱心な人なんだって思いました……」





「……」





「シュシュで髪縛ってたから、見かける度に「また来てる」って感心したもので……」





三枝さんは照れくさそうに話す。





「貸出カードで名前を知って以来、越野さんが来るのを楽しみにしてたんです……」





顔見知りされていたことに、あたしは少し恥ずかしくなる。





……っていうか、そこまで知られてたとは…。





「越野さんを見ているうちに段々興味を持つようになって……思い切って話しかけようと思ったんですけど、全然勇気が出なかったから」





「……え?」





あたしは思わず声を洩らす。