文学乙女

「……怒ってます?」





三枝さんが気まずそうに聞く。





「いえ……ごめんなさい。ちょっと、びっくりしたもので」





あたしは首を横に振った。




「あたし、てっきり三枝さんにからかわれてるのかと思ったから、つい……」





「そんな…とんでもない」





三枝さんは目を見開きながら言った。





「越野さんにそんなこと出来ませんよ……」





「…そうなんですか?」





意外な答えにあたしはホッとした。





「僕は……」





三枝さんは言いかけたまま、少し黙り込む。数分間の沈黙の末、口を開いた。





「ひとつだけ……僕の話を聞いてもらえますか?」





三枝さんが改まるように聞いてくる。





「?……はい」





あたしはおずおずと三枝さんの方へ向く。





三枝さんは恥ずかしそうになりながら、頬をポリポリ掻いている。





「…図書館で……」





「はい…」





「図書館で」と、言いかけて、三枝さんは再び黙り込む。