文学乙女

館内は、今もわいわい盛り上がっていた。





三枝さんとなんの言葉も交わさないまま、じっと夜の景色を眺めている。





この前まですんなり話せたのに、どういうわけか、今は妙に緊張気味。





スーツ姿に圧倒されてる上、雰囲気が変わりすぎてるせいか、まともに顔が見れない!





無理ないか。みんなキチンとした格好してるし、この中で浮いてるのあたしだけだよ…(>_<;)





このままじゃ拉致があかないし、なんとかごまかして抜け出そう。





「さ、三枝さん…」





「はい」





三枝さんを呼んだものの、あたしは思わず言葉を失ってしまう。





普通に帰りますって言えばいいのに、何故か言えない。





「どうしました?」





「あの……ごめんなさい、せっかくのイベントなのに、こんな場違いな格好して…」





Tシャツと紺のパーカーに、アイボリーのレースティアードのスカートのラフな格好を見て、あたしは苦笑する。





「もうちょっと、ちゃんとした服にすればよかったですよね?」





「そんなことないですよ。可愛いですよ、その格好」




三枝さんは、あたしのラフな姿を見ながら言った。





「なんか……あたしだけ浮いてるみたいだし、申し訳ないけど、あたし帰ります……」





三枝さんに頭を下げて、あたしは身を翻る。





「待って」





抜け出そうとした時、三枝さんがいきなりあたしの手首を掴んできた。