文学乙女

車の助手席に乗せられ、あたしは前の視界を見ながら行儀よく座っていた。





さっきの出来事は、一体なんだったのか、さっぱり理解できない。





対する彼は、無言のまま車を運転している。





それにしても…なんでこの人、あたしをかばったんだろう……?





あたしこの人のこと、全然知らないんだけど……。





っていうか、弱い女を助けたふりして、このまま誘拐しに来たとか…?





……そんな、まさか!?





いろんなことを想像しながら、あたしは気付かれないように横目で見る。





環状線を通り越すと、薬局前の信号は赤になっていた。





信号待ちをしている中、車に流れるラジオ番組のリクエスト曲に、あたしは思わず反応した。





いつも聴いてる一番大好きな歌だ。





やった(*^^*)あたしこの歌大好き。





あたしは思わずはにかんだ。





いつ聴いても飽きないし、切なくて毎日聴きたくなる。





あたしは目をつぶって、大好きな歌を聴き始める。





気付かれないように歌の世界に浸りかけている時だった。





「今、流れてる歌が好きなんですか?」





運転している彼が口を開いた。