文学乙女

「どうせその顔で男出来っこねぇんだろ?ん?」






このヤロォォーッッ!






猪原の心無い一言に、あたしは完全にブチ切れた。





怒りに任せて、握りしめてるグラスを振り上げようとした時だった。





背後から強引に引っ張られ、あたしはようやく猪原から解放された。





助けられた後、あたしは唖然としながら相手を見る。




その人はネイビーっぽい黒い生地のスーツを着こなし、髪型も今風にキマッている若い男の人だ。





スーツが板についてるせいか、紳士の大人って感じの雰囲気をかもし出している。





「僕の友達に何するんですか?」





彼は猪原を睨みながら言った。





……友達……?





…あたしこの人と知り合ってたっけ……?





あたしは不思議そうに相手を見る。





「友達ぃ〜?こ〜んなバカ女に男の友達いたのかぁ。おっ、兄ちゃん。そんなバカほっといて一緒に飲むか?」





猪原は有頂天になって、げらげら笑う。





猪原の下品な笑いに、あたしは怒りを堪える。





彼は表情を一つも変えず、じっと猪原を見ていた。