悪夢が始まったのは小学四年の頃…。



二歳年上の姉、茜(あかね)のお菓子を手伝ったことから始まった。



    ***



「凌…本当に初めて?」
茜はまじまじとテーブルの上に置かれたクッキーを見た。



「うん。お菓子作るのは初めてだよ」



「そう…」
小さく呟く。



茜は顎に人差し指を当てた。
このポーズは何かを考えている時にする。



「ねえ、このクッキー貰っていい?友達に自慢したい」



「別に良いけど」



この後、僕は後悔することになる。
茜の企みを知らなかったから…。