心臓病

これが俺の病。
大きな大きな病。
俺の体を蝕む悪い物。

そんなの、ドナーが見つかれば…

世間は簡単に言ってのけるけど
日本には何万人とドナーを
待っている人がいる。

そんな簡単に見つかると思っているのか。

そして、俺の血液型はRH-B型、
そんな珍しい血液型で
しかもドナー登録している奴なんて
そうそういない。
これが上原さんが
俺の病気を治せない理由。
ドナーが見つからなければ
さすがに治しようがない。

ほらな、俺はもう死を待つしかないんだ。

刻一刻と迫りくる、死への時間。

俺、春日龍希という存在が
消えてなくなるまで、
あと何年だろうか、いや何か月か?

「あーっ!!!ちょっとそこの人!!」

溜息をつきながら下を向いて歩く俺に
後方から甲高い声で呼び止める声。

「うるせー。ったく病院なんだから
静かにしろよな…」
そうぶつぶつ言いながら歩いていると、

「ちょっと!!さっきから呼んでんのに!」

がしっと肩を掴まれたので後ろを
振り返る。

「は?誰?てか呼んでたのって俺?」

「あたしは萩尾紗姫。
呼んでたのはあんた。」

はぁはぁと息を乱して走り寄ってくる姿は
誰かによく似ている。