花びらあげようか【短編】

夏休みに入って半分が過ぎた頃、また私は夢を見た…そう、まるちゃんの不思議な夢。




「まるちゃん、あのね、お父さんが元気になったの、そしたらお母さんも幸せになってね…それで、それで…私…今とっても幸せなの!」


薄暗い世界の中で私は、姿の見えないまるちゃんに大きな声で話しかけていた。すると…七色の雲が集まって来た。雲は雨を降らせて辺りはみるみるうちに色付き始める…

今度は空は黄緑、草はオレンジ…遠くに見えた湖は無くなって、代わりに小さな家が建っていた。


「みなこちゃん…」


この声…嬉しくなって振り返る。そこには私の大好きなまるちゃんが立っている。