花びらあげようか【短編】

「美奈子…どーしたの?」


「お父さん…可哀相だよ…」

私はお母さんじゃなくておばあちゃんに抱き着いた。その時の切なそうなお母さんの表情は忘れない。初めてだと思う。お母さんにすがらなかったのは。


病院の窓から涼しい風がフワッと入ってきて、ベットの横に置いてあった花瓶がカーテンに押されて倒れた。



その時、私はまた声が聞こえた…


(みなこちゃん…)


この声…