窓の外に見えるのは大きな入道雲。

どこからともなく聞こえてくる

運動部のかけ声と吹奏楽部の基礎練習の音……それから演劇部の発声練習の声。


「あー・えー・いー・うー・えー・おー・あー・おー」って。


ああ……青春。


そしてその全てをかき消すほどのセミの合唱。


夏休みに入ったというのに、あたしは学校にきていた。


1学期の期末テストも散々の結果に終わったあたしは、結局、現国の補講を受けることになってしまった。


しかもあたしだけとか。


ああ……ありえないし。


なんて思いつつも、頬は朝からゆるみっぱなし。

ダメだと思っても、ついニヤけてしまう。


だけどイッペー君と二人だけの授業は、うれしい反面、ちょっと困る。


だってすぐ目の前にイッペー君がいるんだよ?