( ・・・なんだよ、リュウのやつ )



「相変わらず、
 ひとの話をきかねーヤツだ・・・」




リュウの出て行った玄関口に
目をやりながら
ひとりきりになった部屋で、
俺は言葉を投げかけた。



「俺とおゆきさんはそんなんじゃねーって!
 だいいち彼女には・・・」



そこまで言いかけ
なぜだか急に
今日会った彼女の顔を思い出した。




「笑っていたな・・・」



大切そうに反物をにぎりしめ
帰っていく
彼女の後ろ姿が目に浮かぶ。