「煉《レン》さーん!」


「あれ? おゆきさん。
 どうしたんですか、
 こんな時間に。
 手にもっている・・・
 それは、反物《たんもの》?」


「・・・ええ、そうです。
 ・・・晴信の・・・
 婚約が決まったので」


「晴信くんの?
 あっもしや おゆきさんと?」


俺が、
何気なく言ってしまった一言に
彼女の顔が一瞬
哀しそうになったことに
気づいてしまった。



( まずかったな・・・・・ )