【短編】こんな恋もありでしょ。




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目が覚めた瞬間、慌てて隣を見た。

ああ、やっぱり……夢じゃなかったんだ。そう思った。



いつもみたいに朝日が差し込む部屋じゃなく、パネルの電気だけが頼りの明かり。

いつもみたいに柔らかいお布団じゃなくて、硬いシーツ。

いつもみたいにスッキリした感じじゃなく、腹部に残る鈍痛。



そして、いつもと決定的に違うのは、隣で眠る那央の姿。



いつも固めてあげている前髪が落ち、昔の出会った頃みたいな髪型に、懐かしさと愛おしさが込み上げてくる。



「……かっわいー」



寝ている那央の顔を見つめながらポツリと呟いた。


はぁ、と小さなため息を吐いて、散らばった洋服をかき集める。

脱ぎ捨ててあるといった表現が正しい服を集めていたら、生々しくて頬が熱くなった。

自分自身に、いい歳して何赤くなってんだか! とか突っ込みながら。


バスルームで素早く着替えて、そっとドアの隙間からベットを見ると那央はまだ眠ってる。


その姿にホッとした。


ここで目を合わせて会話する勇気なんて、あたしにはないし。

そもそも昨日のことを説明できるほど、覚えていない。



とりあえず!
ここを出よう!

那央には悪いけど……ごめん!