諦めないで歩いてきてよかったと、胸をなで下ろしていた。
何もかも忘れて…
「はははは……」
あっという間に日は暮れ、辺りは真っ暗になった。
夕食後、3人は浜辺で花火を楽しんでいる。
「私今日海の中でナンパされちゃった!」
「えっ、本物のナンパ!?」
「本物…って?」
「あ、いや、なんでもない!」
実果子は思わず今朝のことを思い出した。
「誰にでもひょこひょこついてくなよ」
「わかってるよー、うるさいなぁ」
「だけど物好きもいるもんだな、千夏をナンパだなんて」
「あらお兄ちゃん、知らないの?私すんごいモテるのよ」
「はっはっはっはっはっはっ」
「笑うなーー!!」
相変わらずの兄妹のやりとりを、実果子は微笑ましく眺めていた。
「実果子ちゃん…楽しい?」
「楽しいですよ。どうして?」
「実果子ちゃんはおとなしいなぁと思って。その落ち着きを千夏に半分わけてやってくれよ」
「そんな、千夏ちゃんは魅力的な女の子です」
「やだぁ、実果ちゃんったら!言ってやって言ってやって!」
「私、千夏ちゃんに憧れてたんです。千夏ちゃんが話しかけてくれた時にはもう嬉しくて嬉しくて…」
「……………」


