「うん。…?」



千夏は、実果子の髪を直し始めた。



「…ごめんね!」

「女は髪が命でしょ?私髪いじんの好きなんだー」

「…じゃ将来の夢は美容師さん?」

「まぁね。まだわかんないけど。実果子ちゃんは何になりたいの?」

「私は……」



実果子はそう聞かれても、パッと出てこなかった。



「何度でも大学受験に挑戦するくらいだからスッゴいの?」

「…………」

「あ…ごめん、私何か…」

「あ、ううん。私の夢はね、畑を耕してたら梅干しがたくさん…」

「梅干し?」

「とは冗談だけど…本当はまだ決まってない…ただ大学に入りたかっただけ…なのかな?なんか情けないね!私…」

「そんなことない!いいじゃんそれでも。入ってから色々考えられるよー」



自分の考えの無さに一瞬ヘコんだ実果子だけど、千夏の励ましと笑顔でまた元気が湧いてきた。



ゆっくりいけばいい…
その時考えればいい…





「今日もバイト?」

「うん」

「私もバイトしよっかなー。合宿なんてかったるいよー」

「そんなこと言わずに頑張んな。私みたいになるよ…って、千夏ちゃんは頭良いから大丈夫かな」

「絶対一緒に入学しようね!あー楽しみだねぇ」