最初加賀屋は、明海に対する自分が感じている疑いを晴らすために、食事に誘ったりしていたが、明海を知れば知るほど、惹かれていく自分に気が付いた。



 明海は、仕事中は、一生懸命強い女でいるが、本当は弱い人なんだと思ったり、年下の自分に、いつも気を使ってくれたり、加賀屋を怒ったときは、必ず後で良い所を言ってくれたり、励ましの言葉をくれる。



 そんな女らしさ、優しさに、憧れから、恋心に変わっていった。



 しかし、明海に対する疑いが、事件が解決するまで全て拭い去れないことは、加賀屋はわかっていた。
 



 明海も初めは、加賀屋が何か感づいていたりはしないかと、探りを入れるために、食事などに付き合っていたが、加賀屋の事を知れば知るほど、探りを入れることなど忘れていった。



 彼は、仕事熱心で、年下なのに、真剣に真っ直ぐ明海の話を聞く、そんな加賀屋の姿に惹かれていった。



 二人が、この一ヶ月で急接近し、男と女の関係になるのもさほど時間はかからなかった。



 加賀屋の存在のおかげで、明海は、不安定な精神状態になることもだんだんと減っていったのだ。



 男と女の関係になった頃には、加賀屋が、第三の事件のとき、何かを感じたのではという不安も、明海の中には、すっかり消えていて、安心して彼の胸に飛び込んでいた。