“氷神一族”

古来より『妖』や『物の怪』を退治する事を生業とし、その所業は一族のみ知る。
聞けばその一族、自ら捕らえた物の怪を己の式神としてそれに跨り、師の背丈程ある剣で焔の光を射放つ。

『氷神在る所に妖在り』と言われた時期も有り、民に忌み嫌われながらも、彼らは如何なる時代の中その血絶える事無く戦い舞った。

しかし限りなく妖が減った今、一族は地方に散布し生業から離れ、一般の人間として暮らしている。
それ程まで彼らの血は弱まり絶えつつあった。

そしてその最後の末裔。
彼で“氷神の血”は途絶える筈だった。
しかし、皮肉にも血は彼に最も色濃く、強く、深く継がれ。

いつしか彼の剣に染まる血が“妖”では無くなり“人間”となるのにそう時間は掛らなかった。