「……な、なんだよ。入るならノックくらいしろよ。」


静香ちゃんの元から離れて裕也は俺の前に立った。


「悪い…。いるとは思わなかったからつい。」




自分のロッカーを開けて鞄を入れながら裕也に言葉を返した。


「…ごめん、先に行くね?」


静香ちゃんは、俺が取り出した少し汚れたエプロンを見て慌ててそう言った。


「静香!」


部屋を出ていく静香ちゃんの背中に裕也は、こう言葉を投げ掛けた。


「俺は、嘘なんかついてないからな!!」




パタンッ


……


「はぁー。」


…ため息つきたいのは



俺のほうだよ…








「お前、何言ってんだよ。」


裕也を睨みつけると着ていた上着をロッカーのハンガーにかけた。