妄想バレンタイン《短編》

21時になると、パートのおばさんと歩ちゃんは仕事を終えて先に帰って行った。


もちろん、去年同様、おばさんは義理チョコをくれた。


受け取る時の情けなく寂しい気持ちったらない。


これから家に帰ったら、母親と妹の二回、同じ気持ちを味わうんだろうなぁ。




引き継ぎの大学生がくるまでの一時間。


溜め息をついて窓を曇らせては、タオルで拭き続けたのだった。