妄想バレンタイン《短編》

京子ちゃんの一件から、バレンタインデーに対する俺の意気込みは、すっかりしぼんでしまった。


モテる奴は相変わらずモテるし、モテない奴はやっぱりモテないんだ。


バレンタインデーだからって、俺の一日は何も変わらない。


魔法から覚めたように、変な脱力感が襲ってきた。



だけど、落ち込んでばかりもいられない。


今日はバイトの日だ。


今年もバイト先のおばさんが義理チョコくれるかもな。



俺は自転車のペダルを力いっぱいこいだ。