帰り道に心の中で願ったことは、春夜が寝ててくれることと春夜の風邪が治ってること
玄関に拓海の靴はもう無かった
入るなり母親と出くわした
「夏海遅かったじゃない、今春夜が学校に探しに行くって言ってたところよ」
・・・と言ってたところに、春夜が出かける準備をして階段を降りてきた
願い事はひとつは叶わなくてひとつは叶ったみたいだ
「・・・風邪、治ったのか」
無意識にそう言ってた
春夜は俺を見てホッとしたような笑顔になった
「うん。おかえり、なっちゃん」
うわ・・・ヤバい。なんでだ、泣きそう
「なによ二人とも、変よ?喧嘩でもしてたの?」
母親が怪訝そうな顔をしながら奥の部屋へ戻った



