「・・・ゴメン、聞いた」

盗み聞きの罪悪感が再び俺にズシンとのしかかる

「俺が呼んで連れてきたんだよ」

拓海がフォローしてくれるけど、春夜は手すりに顔を伏せてしまった

「んじゃとっくに一限目はじまってるから俺は戻るわ」

「えっ、おい拓海・・・!」
そんな無責任な!って俺の非難の目にも動じず立ち上がってホコリをはたき落とす
拓海は俺の肩をたたいて耳元で「もーこれで最後のチャンス」と言った

「気付いたろ?楽にさせてやってよ、あいつ」

立ち尽くしてる俺と手すりに顔を伏せたまま動かない春夜を置き去りに、拓海は本当に帰ってしまった